【Angellir連載企画】心美人になるための幸福学 第４回 カラダからHAPPYに切り替える方法
最終更新日：2024年9月3日 | 公開日：2021年8月19日
目次
もう「ため息」はつかない！ 空を見上げて幸せ気分
疲れている時、落ち込んでいる時、無意識に下を向いて、「ハア〜」とため息をついてしまうことはありませんか？ なんと、ぐいっと上体を上げて、「空を見上げる」だけで、幸せ気分に切り替えられるというのです。
「実は上を向いている時はため息をつきづらいんです」と、岡本さん。試しに実践してみると、「ハ」という音がわずかに出るだけで、「ハア〜」と深くため息をつくことはできませんでした。上を向くことで、心も上向きになり、ポジティブな気分に切り替えられるのです。
スマホを見て、下ばかり向いている方は要注意！ 塞ぎ気味の下向きの姿勢は呼吸が浅くなり、知らずとストレスも溜まってしまいます。普段、無意識になっているカラダの状態を見直すことで、心身をラクに整えることが可能なのです。
さらに「大股で歩く」とハツラツ元気モードに
上を向くだけでなく、「大股で歩く」をプラスすることで、さらに元気のスイッチを入れることができます。
「その動作により、脳は意気揚々で前向きだと勘違いして、幸せを感じるのです」と、岡本さん。カラダのカタチから、脳を騙すことができるんです。その他、口角を上げて「笑顔をつくる」ことでも、そのカタチから幸せ気分にスイッチが入ります。
落ち込んで下を向いてしまいそうな時でさえ、上を向くとラクになる！ 歩く気力さえない時も、大股で歩いてみると元気になる！ 笑えなくても口角を上げて笑いにいけば、幸せ気分にスイッチが入る！ こうしてカラダを使って脳をうまくだますことができれば、現実の不調をふっ飛ばすことが可能となのです。
空を見上げることで、全体を見るレッスンになる
幸せな人と、そうでない人との違いは、「幸せな人は全体を見る。そうでない人は部分を見る」と、岡本さんが教えてくれました。この観点からも、「空を見上げる」ことは、幸せな人への近道。広くて大きな空を見上げることで、「自分は自然や宇宙の一部」だと、全体から自分を見る訓練になるのです。
悩んでいる時は、「自分を悩みそのもの」だと、思ってしまうものですが、空を見上げることで、自分を全体から俯瞰で見られる視座へ立つことができます。
また、空は全世界を包み込んでいますよね。世界へ目を向けると、国によって時間も違えば、季節も違い、危険であったり、楽園であったり、と身を置く環境も違います。その視座に立つことで、悩みと同化して見え「ない」という「部分目線」から、多様性や可能性が「ある」という「全体目線」へと、シフトできるのです。
「ある」と分かれば、こころがホッと安心しますよね。
月を見上げることで「変化できる」ことを知る
ついつい悩み過ぎると、出口がないように思うことも……。そんな時も空を見上げることで、出口が見つかるかもしれません。空は空でも「夜空の月」に出口あり。岡本さんは夜帰宅中、いつも月を見ながら歩くそうです。なぜなら、「月は満ちたり、欠けたり、必ず変化がある」から。
人間の心身は、月と自然に共鳴すると言われています。月が満ちたり欠けたりするように、自分自身にも大なり小なり、昨日と違う変化が起きています。悩みや問題もそのままではなく、次第に改善へと変化していくと、月は教えてくれているのですね。
「空を見上げるなど、広大なものを見ることで、『何とかなる』と楽観的なモードに入りやすくなります」と岡本さんは言います。
広大な自然や宇宙の一部として自分を客観視することで、「ちっぽけな存在」だと気づくことができます。そんな自分が抱える「悩みや問題も小さい」と捉えることができ、「なんとかなる」とポジティブな気分に切り替わっていくというわけです。
「どうせ自分には無理」とネガティブにチャレンジを恐れる人より、「なんとかなる」とポジティブに様々なことにチャレンジをしている人のほうが、幸福度が高まります。この「なんとかなる」は、ウェルビーイング（幸福学）の「幸せの４つの因子」の一つでもあります。続いて、「幸せの４つの因子」についてご紹介します。
長続きする幸せ＝「幸せの4つの因子」
「なんとかなる」以外に、3つある「幸せの4つの因子」を知りたいですよね。その前に、そもそも幸せとはなんでしょうか。
ウェルビーイング（幸福学）の根本的な考え方は、幸せになるのではなく、「幸せで在る」という在り方が軸になっています。つまり、「自分の心とカラダが、より良い状態で在るために必要な学問がウェルビーイングなんです」と岡本さん。
では、幸せで在る状態と聞かれてどんな状態が浮かびますか？ 「大金を稼ぐ」「素敵な家に住む」「人気のインフルエンサーになる」など、「金、モノ、社会的地位」が幸せのバロメーターとして浮かぶ方々が多いのではないでしょうか。
ですが、これは「地位財」と言って、時間の経過と共に幸福度が下がる「一時的な幸せ」。お金は使うと減り、家は古くなると劣化し、人気は追い越されるなど、常に完璧な状態や他人や周囲と比較することで、自分には足りないと「ない」に目がいき、次から次へと幸せを追い続けなくてはいけなくなります。
結果、いつまでたっても心は満たされませんし、カラダだって疲弊してしまいます。もちろん、生きていく上でお金は大切なもの。最終目標に設定しない、ということがポイントです。
では「長続きする幸せ」とは、どんなものなのでしょうか。それは「心・安全・健康」など「非地位財」による幸せ。慶応大学院前野隆司先生らの研究では「心」に焦点を当て、「研究・調査を行い、幸せの４つの因子」を導き出しました。
「幸せの4つの因子」とは？
（慶応大学院前野隆司らによる研究から）
- 1）「やってみよう」因子
…人は自分の意志で「やってみよう」と思うことをやることで幸せを感じられる。 - 2）「ありがとう」因子
…感謝の気持ちを忘れない人は周囲といい人間関係を築けるので幸せを感じられる。 - 3）「なんとかなる」因子
…恐れずに「なんとかなる」とポジティブにチャレンジすることで幸せを感じられる。 - 4）「ありのまま」因子
…他人と比較せずに「ありのまま」の自分を受け入れることで幸せを感じられる。
岡本さんは、さらに「４つの幸せの因子」は2つの視点からとらえられる、と教えてくれました。
- ①「ありがとう」…人と人との関係性（対人関係）、尊敬、信頼、繋がり。
- ②「やってみよう」「ありのまま」「なんとかなる」…個人的、自発的に高まるもの。
企業研修を行う直子先生は、①をベースにチームの関係性を深め、②で個人、個人の個性や特性を発揮できるように働きかけています。すると個々の「ある」という強みが活かせる職場になり、企業が代謝され良い状態へと整うそうです。
空を見上げることで「４つの幸せの因子」のスイッチが入る
空を見上げて広大な視座に立つことで、「多用な世界と繋がっている感覚」になれるという話をしましたが、身をもってこれを体感できるのがSNSです。
「6人と繋がると、全世界と繋がれると言われています」と岡本さん。ほとんどの方が、SNSをやっているのではないでしょうか。「やってみよう」と、みなさんがSNSで6人と繋がれば、全世界と繋がっていると思っていいのです。
世界中の人達と手を繋ぐイメージを浮かべ、感じて味わってみてください。こんな大勢と繋がっているなら「なんとかなる」とポジティブな気持ちになり、「ありがとう」と感謝が湧いてきますよね。さらに空を見上げて自然を感じて、ホッと安心することで、自然体の「ありのまま」の自分へと戻ることができますよね。
カラダから脳をだますことにより、「幸せの4つの因子」のスイッチをそれぞれ押す機会が与えられます。
「ない」という思考に入ったら「すぐできること」を思い出す
落ち込んでしまう時の多くは、できない、足りない……など、「ない」部分に目がいっている時。そんな時は、「上を向く」など、「すぐできること」を思い出してください。
職場や移動中の電車の中でも、人目を気にせずできますよね。ため息が出そうになったら、「上を向く」。そうカラダに記憶させておくといいでしょう。「胸をはって大股で歩く」「口角を上げて笑顔をつくる」など、その時、その時に、できそうなことを、カラダからやってみてください。心の器であるカラダを、非地位財のなかで言う「安全」な環境に切り替えることができます。いつだって幸せで在る方法が、自分自身に「ある」ことをお忘れなく。
岡本直子…オフィス・スリール代表。ウェルビーイングライフ＆ワークコンサルタント。ウェルビーイングダイアログパートナー。慶応大学院システムデザインマネジメント学科ヒューマンラボ研究員。（社）ウェルビーイングデザイン。ウェルビーイング女子大学（コミュニティー）主宰。ウェルビーイングの研究及び実践家。一人でも多くの人がその人らしさを発見し、繋がりを大切に、愛と希望に溢れた日々を過ごせるように活躍中。「わたし時手帖」（KADOKAWA）を監修し、「カラダこころ整うラボ」で、心身が整う情報発信中。
＊岡本直子HP…https://www.office-lesourire.com/
＊カラダこころ整うラボHP…https://www.karakorolabo.com/
イラスト／和全 取材・原稿／竹中章恵
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