【Angellir連載企画】心美人になるための幸福学 第1回 やさしいストレスの捉え方
最終更新日:2024年9月2日 | 公開日:2021年8月16日
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ストレスを魔法の呪文でマインドセット
職場以外にも様々なストレスに悩んでいる方へ朗報です。ストレスと仲良くなれる魔法の呪文を岡本さんが教えてくれました。その呪文とは、「ストレスは悪いものじゃない」という言葉。実はこれ、「ストレスの本質」を語っています。ハーバード大学の研究結果でも「ストレスがあるからこそ人は成長できる、達成感を感じることができる」と証明されているんです。
人生を振り返ると、なにかを達成した際、「それがあったから今がある」というような、努力や苦労など、ストレスを伴っていたのではないでしょうか。そんな成功体験により、これまでの世界が広がったり、深まったりと、自分自身を充実させてくれたことと思います。そう考えると、「ストレスは悪いものじゃない」という言葉も、素直に腑に落ちますよね。
これはひとつのマインドセット。「ストレスは敵」という、思考クセや思い込みを払拭して、「ストレスは悪いものじゃない」と、捉え方を改めて意識的に定着させる方法。認識を改めることで、ストレスへのファイトポーズが少なくなるはずです。もう、ストレスは敵ではありません。
ストレスから離脱! ホッとする安心の場を見つける
ストレスの渦中にどっぷり沼っている、魔法の呪文が効かないと感じる方は、「ただちに、ストレスから逃げて」と、岡本さんは忠告します。
「日本人はマジメな方が多いので、立ち向かわなきゃいけない、逃げちゃいけないと、ついつい力みがちなんですが、ストレスからは逃げていいんです」 もし、「逃げる」という言葉に抵抗があるなら「離れる」「距離を置く」など、自分にスンナリくる言葉に言い換えてみてください。物理的にストレスから離れて距離をとることが得策です。例えば、カフェでお茶を飲むとか、公園で休むとか、サウナに行くとか……、心がホッとする「安心の場」をいくつか見つけておくことが大切。「気持ちいいな」「心地良いな」と、ストレスを忘れられる場所であることがポイントです。
ストレスは「自分のなかだけで」解消できる
ストレスから離れる方法は、物理的なことばかりではありません。ストレスと自分自身を、「同一化せずに距離をとる」ことも大切。後にストレスとなる自分に生じた思考や感情を、受け入れるのではなく、「受け止める」ことがポイントだと、直子さんは言います。
例えば、上司に怒られた時、「わたしが怒られている」と受け入れる前に、「この人が怒っているんだ」と、まずは受け止めてみる。いくら不条理なことで怒鳴られても、焦点をあてて「受け止める」のは、「目の前の人が怒っている」という事実のみにするのです。そうすることで、怒っている人と自分の間に距離ができます。
怒りを浴びる前に、「受け止める」というエアーの盾で、自分を防御するイメージでストレスをシャットアウトすること。そうすれば、ストレスになる前に、自分のなかで抹消できますよね。
また、「そんなことない」「自分は悪くない」と相手に抵抗するより、「そうでしたか」「大変でしたね」と相手の意見を「受け止める」ことでも、ストレスは回避できます。
なぜなら、「共感」によって、基本的に人はある程度、落ち着くという性質をもっているからです。「受け止める」ことを意識すれば、他人の価値を押しつけられずに、自分の価値も押しつけずに、自分のなかでストレスを解消できるのです。
ストレスを与えられた人の「喜怒哀楽の感情」を観察しよう
またストレスを与えられた相手の「感情の中身を観察する」ことも、ストレスから離れられる手段のひとつ。「例えば、怒りは第一感情で、その裏には真の原因の第二感情が隠れているんです」と岡本先生は言います。たとえるなら、怒りは他の感情の着ぐるみだったということです。自分の怒りの着ぐるみの中身はなんだろう? と探ってみましょう。「分かってもらえない」という、悲しみが隠れているかもしれません。それが分かることで、互いが分かりあえるような改善策を立てることができますよね。
最初は訓練が、必要となりますが、意識的に相手の感情を観察してみてください。相手の発する言葉や、表情、現象を捉えていきましょう。これはコミュニケーションの基本でもあります。はじめはストレスから距離を取るつもりが、周りとの距離はどんどん縮まるはずです。
もう一人の自分を置いて「俯瞰で見る」
さらに、「もう一人の自分」を自分のなかに置くことも、ストレスと距離をとる方法のひとつ。そして、もう一人の自分から、「俯瞰で自分を見る」ことがポイントです。
岡本さんは管理職向けの企業研修をされていますが、「ついカリカリと部下など周りを怒ってしまう」とお悩みの管理職の方も、「自分のなかにちっちゃい自分を見て、怒る自分を眺めておさめみる。と、意識的にクセづけをしたら、全然怒ることがなくなりました」と、問題が解決されたそうです。 つい怒りを覚えるのは周りのせいだと思いがちですが、なかなか他人をコントロールするのは難しいもの。とはいえ、「怒ることをやめなきゃ」と思い過ぎて自分を攻めては、しんどくなってしまいます。そんな時、もう一人の自分を置くことで、この管理職の方の例のように、次第に自分で自分をコントロールできるようになっていきます。
「幸せな人は一歩ひいて全体を見る、そうでない人は部分のみ見る」という言葉があるそうです。日々、もう一人の自分を置くことをクセづけることで、一歩引いて全体を見られるトレーニングになります。どんどん、幸福度を高めていきましょう。
10秒数えると怒りは静まる
岡本さんから、クイックで怒りをおさめる方法も教えてもらいました。その方法は、「怒りがわいたら怒る前に10秒数える」というもの。「人間の怒りの感情はだいたい7秒で消える」という研究結果があるそうです。その根拠に基づき、ムカッとしたら、とりあえず、1,2,3,4,5,6,7,8,9,10〜と10秒カウントする。そうやって怒る前に「間」を置くことがポイントです。つまり、怒りは瞬間湯沸し器のようそのままの感情が出やすいため、いったんぐっとこらえて10秒、間を置く。この時も、「もう一人の自分を置く」と、よりスムーズに行えることでしょう。怒りそうな自分を、自分で見守るイメージで、10秒数えてあげてください。クセづけることで、トラブルやピンチの前でも、落ち着いていられる自分を育めます。
自分にとってのストレス解消の「得意パターン」を知っておく
ストレス解消方法を、いろいろとご紹介してきましたが、自分にとってやりやすいもの、「得意なパターン」を知っておくことが大切です。ここまでは主に「ストレスから距離をとって離れる方法」をご紹介してきましたが、「真正面から立ち向かう」のが得意な方、「人に話して相談する」のが得意な方と、人それぞれ違います。また同様に、周りにいる人達が、どういう時に自分にストレスを与えてくるか? そのパターンを観察しておくことも一つの手です。
どちらも分かっておけば、与えられる前にも、与えられた後にも、ストレスを上手に逃すことができます。こう意識することで、自分も他人も大切にできますよね。
「がまんしない」と誓うこと。適度なストレスは人生を豊かにする
なにを置いてもストレスを、「がまんしないことが一番大事」と岡本さんは言います。この「がまん」こそが、一番のストレスになるのです。小さながまんを積み重ね、巨大なストレスの悪魔を育み、爆発させないように! やってきた違和感を、気づかないふりして見過ごさないようにしましょう。「ストレスは悪いものじゃない」という、魔法の呪文を唱えましょう。ストレス自体、悪者じゃないという事実に立ち戻れば、そもそも「がまんの対象」ではなくなりますよね。
実は適度にストレスがかからないと、「〜したい」「〜に挑みたい」という望みも出てこないと言われています。そんな成功や達成感を味わわせてくれる、ストレスの天使の顔を忘れないようにしましょう。ストレスは人生を彩り豊かにしてくれるスパイスと認識を改めましょう。ストレスを部分で見ずに、全体を見る「幸せなあり方」へと、シフトしていきましょう。
岡本直子…オフィス・スリール代表。ウェルビーイングライフ&ワークコンサルタント。ウェルビーイングダイアログパートナー。慶応大学院システムデザインマネジメント学科ヒューマンラボ研究員。(社)ウェルビーイングデザイン。ウェルビーイング女子大学(コミュニティー)主宰。ウェルビーイングの研究及び実践家。一人でも多くの人がその人らしさを発見し、繋がりを大切に、愛と希望に溢れた日々を過ごせるように活躍中。「わたし時手帖」(KADOKAWA)を監修し、「カラダこころ整うラボ」で、心身が整う情報発信中。
*岡本直子HP…https://www.office-lesourire.com/
*カラダこころ整うラボHP…https://www.karakorolabo.com/
イラスト/和全 取材・原稿/竹中章恵
#アンジェリール #心美人